「Sa vie 」の後編を up しました。
1789年7月14日が、歴史に大きな足跡を残したフランス革命勃発の日ですが、オスカルにとっては、7月12日が、彼女の”バスティーユ”だったのではないかと思います。
書き始めてまもなく、原作の展開をなぞっただけで、これを小説として書き起こすことに意味があるのかと思いましたが、この頃のオスカルの決意が私の現代物を書く原点でもあり、もう一度原作を読み込み、一つ一つの出来事について自分なりの解釈を加えることには、個人的に大きな意味がありました。
原作は徹頭徹尾、小気味のよいテンポで進み、それぞれに重要な意味をもつ場面が無駄なく配置されている作品ですが、今回取り上げた部分も、オスカルが最後の決断を下すために必要だったエピソードが的確に散りばめられていて、唸らされるものがありました。
また、オスカルのこの時期の心の動きを文字にしようとするに際し、彼女の心情を想像すると、大きな葛藤と迷いがあったことがうかがえて来ました。
アンドレと契りを交わすことも、平民の側について闘うことも、子供の頃に読んだ時には、それが当たり前だと感じていたのですが、自分が大人になって、社会には様々な制約があることを知り、それが現代よりもずっと大きく重くのしかかっていた時代であったことを知ってから読み直すと、それを乗り越えるまでには大きく葛藤し、そして決断を下した後も迷いや矛盾を抱えたままでいたのではと思えてきました。
この頃の彼女はおそらく結核に犯されていて、当時は致死率の非常に高かった病気ですから、死を思ったはずです。
それなのに、「この戦闘が終わったら結婚式だ」と、アンドレには未来を予告したりしています。
そんな中で、その迷いを強く感じる読者は、池田先生が新エピソードでオスカルの心の影を描かれたように、オスカルとアンドレが生き残る姿を想像されたり、ジェローデルを選ぶ展開を描かれたりするのではないかと思いました。
何と、二次創作しがいのある作品であることか……。
そして、私は現代に生まれ変わった姿を書いてしまい。
読み返す度に新たな発見があり、幾重にも深読みできてしまう「ベルサイユのばら」という作品。
許される範囲で、今後も二次創作をつづけさせていただけたらと思います。
長文、読んで下さって、ありがとうございました。
サイト10周年に際して つぼつぼ 拝
※お時間があったらですが、このSSを読まれた後、Gallery → Illustration-stories → 2013年7月企画の「そして、たった一つの光」(13日の朝)を読まれてから、現代物を読んで下されば、また一連のSSが違って読めるかもしれないと思います。
このSSを書こうと思ったきっかけの一つが、「そして、たった一つの光」を読んで、とても感動したと言って下さった方のご感想で、その方が「現代物は苦手だったけれど、それをきっかけに、こちらの現代物を読んでみました」と言って下さったことなので。