【あらすじ】
王妃の処刑後、ベルギーに亡命していたフェルゼン伯爵のもとを、ジャルジェ将軍が訪れます。
国王処刑後に、王妃と会った時の様子を語る※のですが、その際に、オスカルさまの死を乗り越えることができずに、ジャルジェ夫人が亡くなっていたことが明かされます。
その後、幽閉がつづいていたマリー・テレーズの話に移り、ルイ・シャルルがマリー・アントワネットから引き離されたシーンなどが回想シーンとして語られた後、マリー・テレーズはフランス人の人質と交換という形で解放されて、母の故国である、ウィーンへと旅立ちます。
ウィーンでは、大使として赴任したフェルゼン伯爵がマリー・テレーズの姿を見かけるのですが、彼女の方は見覚えがあるようだけれど、誰だか分からずに言葉を交わすこともなく、その場を後にしてしまいます。
ちょうど、マリー・テレーズは18歳。
奇しくも、フェルゼン伯爵と王太子妃だったマリー・アントワネット、そしてオスカルさまが、パリの仮面舞踏会で出会った年と同じだったのでした。
※この新エピソードでは、「国王陛下の処刑のすぐ後 タンプルの塔内に変装して忍び込み 王妃さまにお会いして参りました」と言っていますが、MC9巻では、ジャルジェ将軍が会いに行ったのはコンシェルジュリー牢獄に移された後で、どちらが公式なのか……?
ストーリーは史実が骨で、そこにジャルジェ将軍が登場したり、フェルゼン伯爵とマリー・テレーズの再会シーンが肉付けされているというものでした。
これまでのエピソードでも、驚かされた新事実がいくつかあったのですが、個人的に今回一番悲しく衝撃的だったのは、ジャルジェ夫人が哀しみに打ち克つことができずに亡くなってしまったということでした。
それで、Omoitsukiのイラストを描いたのですが……。
後ろめたさからなのか何なのか、ウィーンの宮廷ではマリー・アントワネットの名を口にすることが堅く禁じられているし、解放された後も、マリー・テレーズは暗く頑なな様子だしで、1789年のあの時までの輝きが強い分、その後は薄闇の中に包まれているような印象でした。
こうして大人になってから読むと、そのような人生の浮沈も味わい深いものがありますが、小学生くらいでこのお話を読んだとしても、心には響かなかったと思います。
実際、MC9巻はあまり興味が湧かずに、若いころは読み返すこともありませんでした。
その意味で、オスカルさま死後を10週で終わらせたというのは英断だったと思います。
それではここから、写真も交えて、今号掲載分をチラっとご紹介♪
今号の「マーガレット」表紙です。
オスカルさま再登場!
前回の表紙と同じイラストではありますが、やはり嬉しいもの(^^)
作品の扉絵は、18歳のころのマリー・テレーズです。
付録のシール
「こわく…ないから…」、「お金が…ない…!?」
こういうチョイスが多いのは何なのでしょう……(笑)
どこに使えばよいのか?
笑いを取るつもりで使ってみる???
今回、まずお話しを味わう前に、気になってしまったのが、MC9巻のコマをそのまま描き直したコマが多かったこと……。
初見の際は、「あ、ここも!」なんて、そればかり目についてしまいました(笑)
新旧比較。
ラスト・シーン。
マリー・アントワネットに生き写しのように美しく成長したマリー・テレーズ。
彼女を見て、あの輝いていた日々は、もう触れられない決して戻らない日々なのだと痛感させられます。
「ああ…私の人生の… 最も美しかった日々はすでに過ぎ去り そして二度と蘇ることはないのだ…」
というフェルゼン伯の慟哭の下のセリフが胸に突き刺さります。
あの”最も美しかった日々”を、私自身も愛しているので、フェルゼン伯爵の気持ちが痛いほど分かるような気がして。
実際に体験した人と比べたら、疑似ではありますけれどね。
マリー・テレーズの生年月日から推測すると、このように思い知ったのが、1796~7年頃のこと。
それから1810年に亡くなるまでの長い時間を、彼はどのような気持ちで過ごしたのでしょうか。
故国スウェーデンでは元帥まで登りつめたそうですが、心の中は決して満ち足りることはなかったのでしょうね……。
革命後、生き延びたことが幸せだったのか、不幸だったのか。
「ベルばら」キャラを見る限り、革命後も生き延びてしまったことは不幸だったと言えるかもしれません……。
だからこそ、オスカルさまとアンドレをあの日に天に送ったのでしょうか、池田先生は。
いろいろなことを考えてしまいます。
そして、”二度と蘇ることはない”日々をもう一度甦らせたくて、二次創作しているのだなぁと。
どれだけ、その日々が好きなんだと、これまでの自分自身を振り返ってみたりもしてみたのでした。