この肖像画、何だか不思議な感じがしませんか?
現在住んでいる所から電車とバスを乗り継いで小一時間ほどの所に、ケンウッド・ハウスというカントリー・ハウスがあります。
18世紀に半ばに、初代マンスフィールド伯爵がロンドンで仕事をする上での住まいとして購入し、改築させたものです。
広大な敷地の中に建つ白亜の建物。
伯爵は高名な法律家で、イングランド及びウェールズ高等法院首席判事の地位に就きました。
現在、建物はイングリッシュ・ヘリテッジが管理していて、入館料は無料。
なのに、レンブラントやフェルメール、ターナーなどの名画がそこかしこに飾られていて、カウントリー・ハウスとしての建物も、絵も楽しめる素晴らしい所です!
絵画は当時からあったものではなく、20世紀に入ってから、この屋敷を買い取ったギネスビール社会長の初代アイヴィー伯爵エドワード・セシル・ギネスのコレクションらしいですが。
個人的に大好きな、ジョン・シンガー・サージェントの作品があって、嬉しくて思わず感涙!!
こんなところで出会えるなんて、運命!?と思っちゃいました(笑)
テートの「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」に次ぐ肉眼2作目。
嬉しさのあまり、写真に撮り忘れちゃったんですが^^;
内部はこんな感じです。
この色使い、ウェッジウッドを思わせませんか?
敷地は、ハムステッド・ヒース公園となっていて、多くの市民が訪れます。
夏は野外コンサートもあるんですよ。
裏の使用人棟はオーガニック・フーズを提供するカフェになっています。
そのカフェの手前には、かつてのバスルームがあって。
当時、ここは有名な温泉保養地だったそうです。
Oさまはきっとお風呂好きだったに違いないと思うと、部屋で湯あみもありだけど、こんな風に個人的なバスルームもありかな~なんて、ベル妄想。
これまでも何回かロンドンで訪れた場所をご紹介したのですが、ここは自分にとって特別な場所に思えてしまって……。
もう先月のことになりますが、『Belle』という映画を見ました。
主人公は最初の写真の方です。
名前をダイド・エリザベス・ベル(Dido Elizabeth Belle 1761 - 1804)と言います。
右でなく、左の女性です。
褐色の肌をもつこの女性は、初代マンスフィールド伯の甥の娘に当たります。
イギリス海軍の軍人だった彼女の父親は、拿捕したスペインの奴隷船に乗せられていた彼女の母親を愛するようになり、生れたのが、ベル。
正式な奥さんは別にいたのですが、ベルの母親の死後、父親は彼女を引き取って子供のいなかった叔父マンスフィールド伯爵に預けました。
そこには、肖像画右側のエリザベス・マレーという1歳年上の又従姉がいて、当初、ダイドは彼女の私的な付き人となるようにと、育てられます。
レディの私的な付き人にふさわしくなるために、十分な教育は施されたようです。
母親が奴隷の身分であったこと、そして、肌の色から差別的な処遇は受けたようですが、それは当時としては至極当たり前のことでした。
ですが、彼女は非常に才気煥発で、大叔父が抱えていた裁判に関して相談役をするなど、秘書的な仕事をさせてもらっており(審理の相談役は本来、男性秘書の仕事だった)、また、父親が亡くなると遺産の分割を受け、大叔父が亡くなる際には、遺産と年金を与えることと、彼女を奴隷の身分から解放することを書き残しています。
家令と結婚して、子供にも恵まれたそうです。
当時としては、破格の待遇を受けていた彼女。
それを象徴するのが、冒頭の肖像画。
オリジナルはスコットランドのマンスフィールド伯爵邸にあるそうで、これはケンウッドハウスに飾られていた写真を撮影したものですが、当時、奴隷である黒人が絵画に描かれる場合、白人である”主人”より下部に描かれ、正面に視線を向けてはいけなかったそうです。
それが、彼女は生き生きとした目をまっすぐにこちらに向けて、寄り添う白人の又従姉は親しげに彼女に腕を伸ばして触れている。
彼女がマンスフィールド家でどれだけ大切にされて来たかが分かります。
この肖像画が一般公開されたのは、2007年のこと。
そこから初めて、歴史家が彼女について調査・研究し、大まかな生い立ちが分かったそうです。
彼女が生きた18世紀から、約200年の時を隔てて。
なんだかちょっと、ベルファン魂が疼きませんか!?
18世紀中葉、身分違いの恋(真実の愛)、親子の情愛、身分を越えた友情。
性別や立場は異なれど、キーワード的にはOAにあてはまる要素が多く。
前置きが長かったですが、そんな萌えを満足させてくれる逸話でした。
こんな、18世紀。
階級やしきたりにがんじがらめでありながらも、決してそれに隷属していたわけではなく、例外もあったし(ダイドの場合、大叔父が職権を利用して、ずいぶん彼女の立場を正当化したらしいですけれど)、ヒューマニティあふれるエピソードが実際にあって。
海を隔てたフランスで、男装の麗人(軍人)とその従者が実際に存在しても、そこに恋愛が成立しても、おかしくないではありませんか!?
↑ 言いたかったのは、この一文です。
件の映画はといえば、ダイドの立場が史実よりかなりよく描かれています。
あまり差別的処遇がないので、憤ったり感動で泣いたりという映画ではないのですが……。
大叔父マンスフィールド伯爵が下した判決を軸に、彼女のラブ・ロマンスが描かれていきます。
判決の行方は?(ちょっとググればわかっちゃうことですが)
彼女の恋の行方は――?
オチが予想されちゃう脚本なんですが、18世紀らしい建物や習俗、ドレス・服装はが十分に堪能できました。
いつもコメントをありがとうございます。
こまめにチェックはしているのですが、お返事が滞ってしまい、大変に申し訳ありませんm(_ _)m
まずは6月分のお返事をさせていただきまして、7月分は近いうちに。
読まれる方はリンクをクリック ↓
2014/06/05
14:05 の方
> 青いにわとり!心惹かれますね。思わず見入ってしまいます。
青いんですが、青い空に映えるんです。
鴨川の床席なんて、風流ですね。
例年なら川風に吹かれて、涼しいのでしょうに、今年はまた酷暑なんですね……。
7月に入り、さらに暑さが厳しくなっているでしょうか。
> マーガッレット、アラン編。うるうるしてしまいました(T0T)『あぁ~ん。アンドレ~』っと。(そっちかい!)11巻!
革命後が気になっていた、さる方も登場して。
この数年後が「エロイカ」なのねと思いながら読みました。
オスカルさまとアンドレには、回想でなく、”生きた血の通った”元気な姿で登場してほしいですね!
> ロケットペンダント情報もありがとうございます。いまだに悩んでます。。。
タペストリーはお値段が張るので、すぐにあきらめがつきましたが、買えなくはないお値段だと迷いますよね~。
これからも、たくさんの新作グッズが出そう。
2014/06/09
22:18 の方
> ソシエのベルばらすごく面白いですよね~。。私も、あの場面だ~といちいち反応しながら堪能してます(*^^*)
上手に原作の絵を使っていますよね。
たった8ページですが、製作に時間がかかっているのでは?
いつの間にか気づけば、アントワネット編の前・後編が公開され、現在は第3章ですね。
お二人のガールズ・トークが……(≧▽≦)
またリンク貼っておきます!
ソシエ 「ベルばら」コラボまんが
> 先日やっとアニばらの41話のビデオを。でも総集編を観ただけで切なくて・・(>_<)
衛兵隊に転属した頃から胸が痛む回が多かったです。
41話、レアではないでしょうか?
コレクター魂に火が付く!
> DVDを持っているとそそらない?41話と地方打ち切り版!が入っているなら即買いなのですが
昔の作品なので、ブルーレイにしてもそれほど画質がきれいになるとも思えないし、DVD持っているなら、特典次第なところですね。
> アラン編も大満足でした。
OA の生き様を目の当たりにして、大人になったアランでしたね。
次回ジェロ編はいつでしょう?
アラン編、まだ感想、書いていませんね(>_<)
今月中には書きたいです。
もうネタばれでもいいですよね。もちろん【ネタばれ】の注意書きはしますが。
2014/06/11
23:36 の方
> ベルばらTシャツ大人買いしました!
Tシャツ、私も魅かれているんですが。
買っちゃおうかな~!?
それを着て、検定を受けに行かれるとかは、どうでしょう?
アンケートのリクエストをありがとうございました!
投票期間は短くなりましたが、お蔭様で、今年はコメント数が多くて、お届けするのが楽しみです♪
> 最近、従僕妖精が良いなと解り始めました(遅い!)
かっこいい要素がないですからねぇ(笑)
> この夏、おフランスに旅行します♪
これからでしょうか?
こんにちは、ありがとう、すみません、さようなら くらい覚えて行けば、大丈夫ですよ~。
あ、あと、「いくら?」も(笑)
> カフェドラペはぜひ行きたいです。おふたりの出会いの場所ですし~♪
ご感想、ぜひお聞かせ下さいね。
行ってみた方によると、なかなかよい雰囲気だったそうです。
1階がティールームで、2階はお食事を取られる方用みたいです。
もし、自由度が高い旅行ならば、この本を参考にされてはいかがでしょうか?
ベルサイユのばらの街歩き 単行本
歴史が好きならば、カルナヴァレ美術館がお勧めです。
個人的にはジャックマール・アンドレ美術館に行ってみたいと思っている今日この頃です。
旅行楽しんで来て下さいね!
2014/06/12
00:09 の方
> カレンダー、会社に置いてます。
仕事で疲れた時にしばし見つめていると、勤労意欲が湧いて来るかも。
堂々と「私はこれが好き!」って言えるのって、かっこいいと思います
> もし、もらえたら、等身大のオスカルさま持って、
帰宅したら等身大のオスカルさまがいらっしゃるなんて……ぜいたく!
でも、まるで生きている方に接するように、気を使ってしまいそうです(笑)
2014/06/26
14:25 の方
> 2015年度カレンダー情報、ありがとうございます(≧∇≦)
私も教えていただいて……。
ファン同士情報共有いたしましょう(^^)
> お二人が亡くなった時は、『この戦闘が終わったら、結婚式だ』って言ってたのに〜っ
「もしかして……」って、期待した読者も多かったかもしれませんよね。
今でいう”死亡フラグ”ですが……。
映画などで、「ここから戻ったら○○するんだ」と言う人、たいてい死ぬそうです……。
> そう!あの、ロケットペンダント、注文しちゃいました〜
中にはどなたの写真を!?
ご主人様?それともアンドレ?
ここはアンドレでも許されるでしょう(笑)
2014/06/28
11:22 の方
> エステサロン・ソシエのコラボコミック。読まれました?あまりにも上手く原作画を使っている
第3章 前編も公開されましたね!
キャラクターの性格も立ち位置も上手く取り入れられていて、すごいと感心しております。
あそこまで破綻がないと、スタッフの中にベルファンがいるのではと思ってしまいます。
リーマン・アンドレ、顧問弁護士フェルゼン、スーツ姿も似合っていますよね!
それでは、また。